消費者が情報収集手段として利用することも多いSNS(Social Networking Service)は、企業にとっても効率的に情報発信できる魅力的な場所ですが、手軽に投稿できるSNSだからこそ、気をつけたいポイントや戦略の立て方などをしっかりと理解する必要があります。
ここでは、SNSマーケティングとは何か、メリットや始め方とともに、注意点や成功するためのコツを事例とともにご紹介します。
目次
- SNSマーケティングとは
- SNSマーケティングのメリットと効果
- SNSマーケティングのデメリット
- SNSマーケティングの始め方
- SNSマーケティング成功のためのコツ
- SNSマーケティングの成功事例3選
- SNSマーケティングの失敗事例
- まとめ
- SNSマーケティングについてよくある質問
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、InstagramやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用して、ブランドや製品の認知度をあげたり、売れる仕組みを作ったりするマーケティング手法です。
InstagramやFacebook、X(旧Twitter)、TikTokなど、ユーザーの多い人気のSNSを利用することで多くの消費者に手軽にアプローチできます。また、企業と消費者がつながることで反応をダイレクトに知ることができるため、その後の戦略や開発に利用できる情報を集めることもできます。
2022年に総務省が発表したデータによると、消費者のSNS利用率はほぼ全世代で増加しています。SNSの利用目的も、「情報収集」が「連絡手段」に次いで多くなっているため、企業側もSNS上での情報発信が必要となってきています。
SNSマーケティングのメリットと効果
手軽にはじめられる
ほとんどのSNSは無料で使用することができるため、マーケティング費用を抑えることができます。使ったことのあるSNSであれば、投稿方法や機能、SNS独自のマナーなども知っているため、参入するハードルも低くなります。
スピーディーに情報伝達できる
投稿してタイムラインに流れるまでに時間差がなく、情報をすばやく拡散することができます。自社で投稿するためコメントでの質問などにも迅速に対応できます。
顧客と直接つながることができる
コメントやいいねなどで顧客と直接やりとりできるため、良質な交流をすることでブランドや企業のファンになってもらうことができます。
また、商品やサービスに対するニーズをダイレクトに知ることができるだけでなく、投稿への反応からマーケティングの軌道修正もすばやく行えます。
より多くの顧客にアプローチできる
多くのユーザーがいるSNSを利用することで、自社HPやECサイトだけではアプローチできない層の消費者にも見てもらい、認知してもらうことができます。幅広い消費者にアプローチできると、潜在顧客の獲得や近い将来の顧客を育成できる可能性があります。
販売促進につながる
顧客の購入のきっかけとなるのはSNSで見つけた口コミや投稿であることが多いため、SNSマーケティングによって生まれるユーザーによる投稿(UGC)や、タイムラインに違和感なく流れてくる広告などが売り上げにつながります。
SNSマーケティングのデメリット
炎上するリスクがある
問題のある投稿もすぐに拡散されてしまうのがSNSマーケティングの最大のデメリットです。投稿に対する批判が大きくなって炎上状態になると、ブランドや企業のイメージも下がってしまいます。投稿前は情報の正しさや言い回しなどをしっかりとチェックする必要があり、さまざまな角度から細心の注意が払えるような、モラルやリテラシーがしっかりとした人材が必要です。
運用に時間がかかる
手軽にはじめられるSNSマーケティングですが、マーケティングツールとして結果を出すためには、担当者を配置して時間と労力をかけることが必要になります。データ分析やコンテンツの作成、写真や動画の撮影、投稿文の推敲などをしっかりと行える時間と予算を確保することが大切です。
SNSマーケティングの始め方
1. 目標を設定する
SNSマーケティングの目標を定めます。3C分析を行って、自社の強みや弱みを把握してから目標設定すると良いでしょう。認知度の低さを改善するために広く拡散したいのか、顧客とコミュニケーションを取ってロイヤリティを高めたいのかなど、SNSマーケティングで何を達成したいのかを考えます。以下は主な目標例です。
- ブランドの認知度を高める:できるだけ多くの人にリーチし、ブランドや製品、サービスを広く知ってもらいます。
- 商品の需要を生み出す:SNSへの投稿で商品への興味や理解を高め、商品の需要を生みだします。
- 見込み客を獲得する:フォロワーになってもらうことで、後々の投稿から商品を購入してもらえる見込み客を確保します。
- 売り上げを上げる:SNSのショッピング機能やECサイトへの誘導で商品を購入してもらいます。
- オフラインへ誘導する:SNSでの情報発信をきっかけに、実店舗などへ人々を誘導します。
- パートナーシップを形成する:インフルエンサーマーケティングや他ブランドとのコラボレーションで、インフルエンサーやビジネスパートナーとつながります。
- ロイヤリティを築く:顧客のエンゲージメントを高めます。ブランドや商品、サービスのファンになってもらいます。
- ソーシャルプルーフ(顧客の評価)を確立する:顧客によるブランドや商品、サービスのポジティブなイメージを拡散します。
- カスタマーサービスを提供する:ダイレクトメッセージやコメントでの質問や意見に対応し、迅速なカスタマーサービスを提供します。
- ターゲットとする市場のリーダーになる:SNSでのプレゼンスを高め、商品やサービスへの信頼を築いて市場のリーダーになります。
2. ターゲットを設定する
SNSマーケティング戦略を決めるための重要な材料となるターゲットを設定します。年齢層や性別、属性などを既存の顧客データや競合他社のフォロワーなどから分析し設定しましょう。
ターゲットよりもさらに具体的な「ペルソナ設定」をするのもおすすめです。全ての特性を書き出す必要はありませんが、以下の項目を参考に人物像を描いてください。
居住地:理想とするお客様はどこに住んでいますか?国だけでも良いかもしれませんし、地域に密着したビジネスや特定のエリアに特化したビジネスであれば、該当する場所を設定しましょう。
年齢:お客様の年齢はどのくらいでしょうか?ターゲットとなる年齢は、成人する人や定年退職を迎える人など特定の年齢を対象にする場合以外は、できるだけ広く設定しましょう。
性別:お客様の性別は?これは商材によっては不要かもしれませんが、不可欠である場合もあります。必要に応じて設定しましょう。
興味:趣味や興味のあるものは何でしょうか?コンテンツ作成のヒントになったり、ターゲットを絞るのに役立ったりします。(例:料理、ヒップホップダンス、ヨガなど)
キャリア/業界:どのような業界で働いていますか吗?どのような役職でしょう吗?商材によってはこれもさほど重要ではないかもしれません。ただし、働いているかどうかは投稿スケジュールなどの戦略を立てる際に有益な情報となります。
所得レベル:所得の範囲はどのくらいでしょうか?具体的な所得を決めなくても、購入時に金額を最も優先するかどうかを考え設定します。
人間関係のステータス:独身でしょうか?パートナーがいたり、結婚したりしているでしょうか?商材によっては必要ない情報ですが、背景情報としてあるとコンテンツ作成時に役立ちます。
お気に入りのサイト/アプリ:どのようなウェブサイトをブックマークしていますか? InstagramやPinterestを毎日見ていますか?何か必要不可欠となっているアプリはあるでしょうか?
購入の動機:商品を購入する理由は何でしょうか?ステータスシンボルを身に付けたい?それとも健康改善をしたいと思っている?顧客になったつもりで、自社製品を購入する理由を考えて設定します。
購入への懸念点:なぜ商品を購入しないのでしょうか?品質を心配しているのでしょうか?これも、顧客目線でなぜ買わないのか、買いたいと思えないのかを考え、ペルソナに設定します。
その他の情報:教育やライフステージ(例:生まれたばかりの子供がいる家庭など)など設定しておくべき他の情報があれば書き出します。
これらのペルソナは100%正確というわけではありませんが,顧客になる可能性が最も高い人たちを推測することができます。
ただし、SNSマーケティング戦略を実行して、リアルなフィードバックを得ていくにつれて変化・進化していきますので、最初のペルソナの範囲はなるべく広く設定しましょう。
3. 利用するSNSを決める
利用するSNSは、ターゲットが多く利用しているものにします。また、目標に合ったアプローチがしやすいもの、自分たちで運用しやすいものを選びましょう。
Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、Pinterestなど、マーケティングに利用できるSNSはたくさんあります。各SNSの特徴を理解して、複数運用する場合は優良なコンテンツ投稿を維持できる数に抑える、それぞれの強みを生かすようにする、という点に注意しましょう。
Tofu Analytics(トウフアナリティクス)のような、複数のSNSを一括管理できるSNS管理ツールを利用するのも一案です。
以下はSNSマーケティングで主に使われるSNSとその特徴です。
- Facebook:利用者数は約2600万人(国内。以下同じ)で、30代以上のユーザーが多く、20代以下のユーザーは減少しています。匿名性が低く、日本では堅いイメージがあります。テキストや画像、動画の投稿に加え、ショッピング機能もあるのが特徴です。
- Instagram:利用者数は約3300万人で、女性のユーザーが多く、10代から30代が主なユーザーとなっています。画像がメインのプラットフォームで、ショッピング機能もあります。
- X(旧Twitter):利用者数は約4500万人で、10代から30代のユーザーが多いSNSです。リアルタイム性が強く、1日に複数投稿することも一般的です。文字数制限があります。
- Pinterest:利用者数は約280万人で、女性のユーザーが多く、世代に偏りはありません。画像がメインで、一般ユーザーはインスピレーションを得るために閲覧している人が多く、特定のジャンルに関心のあるユーザーにリーチしやすくなっています。
- TikTok:利用者数は約950万人で、10代のユーザーが最も多く、短い動画が投稿できます。独自のアルゴリズムで、フォロワーが少ない状態でも拡散しやすいのが特徴です。
4. 手法を選ぶ
SNSマーケティングには以下の5つの手法があります。複数の手法を活用することで、より効果的なマーケティングを行うことができます。
- SNSアカウントの運用
- SNS広告
- SNSキャンペーン
- インフルエンサーマーケティング
- ソーシャルリスニング
SNSアカウントの運用
SNSに公式アカウントを作成し運用します。自社で情報発信ができるため、最新情報のすばやい拡散や、タイミングを見計らった柔軟な情報発信が可能になります。
写真や動画を利用したブランディングもでき、ホームページやECサイトのリンクをつけることで顧客を誘導しやすくなります。
「中の人(SNS担当者)」の存在が感じられる投稿をすることで、企業やブランドへの親近感や信頼感を得ることもできます。
SNS広告
SNSにはそれぞれ広告配信サービスがあります。一般的な広告と比べ、より詳細なターゲティングができるため、効率的に顧客にリーチできます。また、フィード内で他のコンテンツと同じ形で流れる広告は良い意味で広告らしさがなく、ユーザーの拒否反応が起こりにくいため、スキップされたり身構えて読まれたりすることが少ないのも特徴です。
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンとは、ハッシュタグをつけて投稿してもらったり、フォローとリツイートでプレゼントに応募できたりするなどの、ユーザー参加型のキャンペーンです。
SNSキャンペーンを行うと、アカウントのフォロワーが増えたり情報がより拡散されたりします。特に、ハッシュタグキャンペーンなどでユーザーが作るコンテンツ(UGC)が増えることで、商品やブランドに関する投稿が増え注目度が高まる効果があります。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーに商品やサービスをPRしてもらうことで、そのインフルエンサーのフォロワーやファンに興味を持ってもらうことができます。インフルエンサーは特定のジャンルに精通している場合が多く、フォロワーへの訴求力も期待できます。
注意すべき点は、ステマ(ステルスマーケティング)と見なされないようにすることです。PRであることがわからない投稿をすると、意図的かどうかに関わらずステマと見なされ信頼を失ってしまう可能性があります。第三者に投稿を依頼する際は、依頼されたPRであることを確実に明記してもらうようにしましょう。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングとは、SNS上の消費者の生の声を集め、分析するマーケティング手法です。企業側が依頼するアンケートなどとは違い、消費者が自発的に発したリアルな意見はマーケティングにおける重要な材料となります。
ソーシャルリスニングで得た情報を別の手法でのコンテンツ作成に生かしたり、製品開発や他のプラットフォームでのマーケティングに活用したりできます。
5. コンテンツを考える
SNSマーケティングではコンテンツの質も重要です。ターゲットが有益だと思えるようなコンテンツを考えましょう。具体的には以下のようなタイプのコンテンツがあります。
- ニュース
- インスピレーションを与えるもの
- 役立つ情報
- 商品紹介や宣伝
- コンテストと景品
- 顧客やインフルエンサーのレビューなど
- 実店舗のイベントなど
- Q&A
- 舞台裏
上記のようなコンテンツタイプの中から、シリーズものなどの繰り返すことが可能なコンテンツと通常のコンテンツを決めると、継続して作成・投稿しやすくなり、ターゲットに多様性と一貫性の両方を提供することができます。その他に、テレビが空いた時間帯を再放送で埋めるように、反響の大きかったものを再投稿するのも有効です。
ここで注意すべき点は、宣伝の投稿に偏らないようにすることです。初めてアカウントを訪れたユーザーがそのアカウントに抱く印象は、一番上にくる3〜6投稿(プラットフォームによって変化あり)で決まると考えられます。上に表示される投稿が明らかに販売目的の投稿ばかりだと、フォローを遠ざけてしまう可能性があります。
SNSマーケティングをはじめたばかりであれば、まずはいくつか作りやすいコンテンツを上記のタイプの中から考えてみましょう。商品のデモンストレーション動画のような制作に時間がかかる投稿と、素早く作成できる投稿との組み合わせによってバランスの取れたコンテンツを目指すと、質と量を両立させることができます。
洋服の青山のレディースアカウントでは、製品紹介・役立つ情報・Q&A・キャンペーンなどのコンテンツをミックスしつつ、反響の大きかった投稿をまとめたコンテンツやライブ配信動画も定期的に入れて、バランスよく投稿しています。
6. 投稿スケジュールを決める
マーケティング効果を高めるにはどのくらいの頻度が良いのか、ターゲットや利用するSNSに合わせて考えます。一般的には、タイムラインで流れていってしまい目にとまらないことを防ぐためにも、毎日投稿することが望ましいとされます。しかし、多すぎてもユーザーにうっとうしく思われてしまう恐れがあるので、適度な頻度を見つけましょう。
中身の薄い情報を拡散したり、スパムと受け取られたりすることは避けたいので、最初は毎日投稿することよりもゆっくりと質の良い投稿をしていくことを意識し、少しずつ何が有効なのかを見極めましょう。
ターゲットがいつSNSをチェックするのかも、ある程度使ってみないとわかりません。「ベストな投稿時間」は、季節やその他の要素によっても異なります。一般的には、働いているターゲットは就労後、夜間の利用が多いとされます。
また、SNSマーケティングの効果を発揮させるには、コメントへの返信、コミュニティの管理、良質なコンテンツ作成など、投稿以外にも多くの時間が必要となるため、周辺作業も含めて投稿スケジュールを設定するようにしましょう。
SNSマーケティング成功のためのコツ
SNSマーケティングで成功するためには、SNSの特徴をしっかりと理解することが最大のコツです。特徴を理解すれば、コストをかけなくてもSNSマーケティングのアイディア次第で効果をあげることができます。
例えば、リアルタイムな投稿が多いX(旧Twitter)で製品の新発売までをカウントダウンしながら開発舞台裏を発信したり、検索エンジンのような使われ方をするPinterestで、自社製品も含めたアイディアボードを作ったりするなど、SNSの特徴を利用してユーザーが役に立つと思うコンテンツを提供するとフォローやブックマーク、購入につながります。
口コミから情報収集しているというユーザーの特性を利用して、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用するのも成功のコツです。ハッシュタグをつけて投稿することを促したり、ユーザーの投稿をまとめたりするのも良いでしょう。
SNSマーケティングの成功事例3選
マーケティングと聞くと大企業が強いというイメージがあるかもしれませんが、手軽にできてコストも抑えられるSNSマーケティングは、中小企業でも成功事例は数多くあります。
ここでは、プラットフォーム別に成功事例をピックアップしました。利用している手法も異なるので、SNSマーケティング戦略の具体的な実行例としても参考にしてください。
シャトレーゼ:X(旧Twitter)
お菓子メーカーのシャトレーゼは、公式X(旧Twitter)アカウントでユーザー参加型のSNSキャンペーンを行い、売り上げアップやファンの獲得に成功しています。ハッシュタグ付きの投稿を促し、それを見た他のユーザーもスイーツを購入し投稿するという流れを生みだして売り上げを拡大しました。
また、SNSアカウント運用も毎日行っていて、写真とテキストで季節やイベントに合わせた商品紹介や製造背景などを紹介しています。
担当者の名前を加えることで「中の人」を意識させたり、X(旧Twitter)の雰囲気に合わせたほどよいカジュアルな文章にしたりして親近感を持たせているのもフォロワー獲得の一因になっていると考えられます。
Oisix(オイシックス):Facebook
有機野菜や無添加食品を宅配するサービスを提供するオイシックスは、Facebook広告を使ってメインのターゲット層の認知度アップと会員増加に成功しました。
狙った層にターゲティングできるSNS広告を利用することで、効率的に親和性の高い層に広告を表示できます。SNSを利用する中で自然に流れてくる広告のため嫌悪感も抱かれにくく、ターゲットの心情にあわせたキャッチコピーを使うことでおためしセットの購入へとつながりました。
写真や動画、文字数制限無しのテキストを投稿できるFacebookの特性を生かし、動画コンテンツや役立つ情報を提供するコンテンツを投稿してロイヤリティを高めることで、おためしセットから定期会員へと誘導することにも成功しています。
kurasso(クラッソ):Instagram
生活雑貨のECサイトであるクラッソは、Instagramのインフルエンサーマーケティングで販売促進を行っています。アンバサダーやファミリーと呼ばれるインフルエンサーに製品の使用レビューを投稿してもらい、クーポンコードやクラッソアカウントへのリンクもつけることで、インフルエンサーのフォロワーを自社サイトへ誘導しています。
アンバサダーであるインフルエンサーはライフスタイル系のコンテンツを日常的に発信していて、フォロワーも商品レビューを見ることを好んでいるため、PRであってもしっかりと投稿を見てくれます。さらにクーポンコードが付いてくることで、企業アカウントへも抵抗感なく飛ぶことができるため、購入につながりやすくなっています。
SNSマーケティングの失敗事例
SNSマーケティングの失敗事例を見てみましょう。どちらの例も大手企業が炎上してしまった例です。
ユーザーの投稿をコントロールできなかった例:X(旧Twitter)
ユーザーが自由に投稿できるSNSマーケティングでは、希望的観測でハッシュタグキャンペーンなどを行うと思ってもみなかった結果になってしまうことがあります。
アメリカのマクドナルドは、Twitter上でマクドナルドにまつわるすてきなエピソードを投稿してもらおうとハッシュタグキャンペーンを行いましたが、異物混入などネガティブなエピソードが多くなってしまい、結果として目的とは反対に印象を悪化させることになってしまいました。
求めるエピソードの方向性を具体的に提示せず、ただハッシュタグだけをつけてキャンペーンを開始したことで、ユーザーの発信内容をコントロールすることができなかったことが失敗につながったと考えられます。
心あたたまるエピソードとそれをイメージさせる写真とともにハッシュタグキャンペーンを開始すれば,求めるエピソード像がユーザーに伝わり、投稿内容をある程度コントロールすることができたかもしれません。
ターゲットを絞らず大量の宣伝を投稿した例:X(旧Twitter)
良い意味で広告らしさがなく自然に読んでもらえるのがSNSマーケティングのメリットであるにも関わらず、宣伝だけが全面に出てしまうとユーザーの嫌悪感につながります。また、ターゲットを絞らずに無差別に大量の宣伝を行うと批判を受けやすくなります。
アメリカのトヨタは、アメリカンフットボールの一大イベントであるスーパーボウルに便乗して自社の車の宣伝を試みました。スーパーボウルに関連する投稿をリツイートし、自社キャンペーンへの参加を促しましたが、利己的なリツイートを大量に行ったトヨタに対し批判が殺到しました。
スーパーボウルに便乗するとしても、関連ツイートをしたユーザーの中でも宣伝したい車のターゲットと重なるユーザーの投稿だけをリツイートし、スーパーボウルと絡めた内容でキャンペーンへ促せば、効果をあげることができていたかもしれません。
いずれの失敗例も、SNSの手軽さを鵜呑みにしてリサーチや戦略が不十分なままマーケティングを行ってしまったことが原因です。気軽に簡単に投稿できるSNSだからこそ、丁寧にマーケティング戦略をたてることが大切です。
まとめ
利用者が増加しているSNSは、マーケティングの重要なプラットフォームとなっています。手軽に利用できる一方、戦略を間違えるとネガティブなイメージも一気に拡散してしまいますので、利用するSNSの特性やターゲット、ユーザー心理をしっかりと理解して、目標に合わせたSNSマーケティング戦略をたてるようにしましょう。
SNSマーケティングについてよくある質問
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、ソーシャルメディアのプラットフォームで行うマーケティングです。一般的なマーケティングや広告と違い、他の投稿と同じようにフィードに表示されるため、ユーザーに見てもらいやすいという特徴があります。
どのSNSに注力すれば良い?
各SNSによってユーザー層や特徴が異なるので、どれが良いとは一概には言えません。かといってすべてを管理するのは大変なので、マーケティングの目標やターゲットによって利用するSNSを絞り込み、複数を利用する場合には各SNSの特徴や強みを理解して優先順位付けや差別化をすると良いでしょう。
どのようなコンテンツを投稿すれば良い?
具体的には、ニュース、インスピレーションを与えるもの、役立つ情報、商品紹介や宣伝、コンテストと景品、顧客やインフルエンサーのレビューなど、実店舗のイベント情報、Q&A、舞台裏などのコンテンツから、目標やターゲットなどに合うものを投稿しましょう。ただし、宣伝ばかりにならないように注意する必要があります。
SNSマーケターとは?
SNSマーケターとは、SNSを利用してマーケティングを行う人のことです。webマーケターの中でもSNSに特化してマーケティングを行う人のことを言います。
SNSマーケターってどんな仕事?
企業に代わり製品やサービスについてSNSで投稿したり、いいねやコメントへ対応したりします。他にも、データ分析や投稿の作成、インフルエンサーマーケティングのセッティングなど、SNSマーケティングに関わる業務を行います。
SNSマーケティングに役立つ資格は?
SNSエキスパート検定、SNSリスクマネジメント検定、ウェブ解析士、ビジネス著作権検定などはSNS運用に役立ちます。他には、Photoshopクリエイター検定や色彩検定などがあると、コンテンツ作成時に役立ちます。